良質な桐を求めて
堂々と自信を持って

14年前に桐床を開発した当初は国内の桐材の専門業者から材料は購入しておりました。
その国内の桐材業者も中国材を商社から仕入れておりました。
開発当時の桐床はまだ、柾板に拘ることなく板目の材料でも使用しておりました。
ですからはっきり言って開発当時の当社の床は粗悪だったと思います。

桐タンスに使われる材料は当然柾板が中心ですが、タンス以外は板目でも構わないだろうという浅はかな考えもありました。
しかし、板目では床として使用したときに反りや伸縮の問題が出ることがわかり、何とか柾板の良い材料を手に入れたいという一心でおりました。
たまたまその頃、日本経済新聞の全国版で日本初の桐床開発という当社の記事が載り、その記事を読んで直ぐに新潟まで駆けつけた人がいました。
その人は中国人を父に日本人を母に持つ人で、文化大革命を中国で過ごし大変な思いをして日本に戻り、新潟で出会った頃は彼は日中の架け橋になりたいと中国と日本でのビジネスをしておりました。

13年前のことです。

その人の導きで初めて中国に行き、中国の桐の実態を見てきました。
その時に桐はふんだんに中国にあり、開発した桐床の将来的な需要を考えたときに中国の豊富な桐の資源は希望につながりました。
それから、何とかイシモクの希望する桐材を求め、何回も中国に足を運び、良質な桐を探し回りました。
ある時は技術指導をし、ある時は日本で刃物を作りそれを無償提供しながらでも良質な材料づくりに専念しました。

しかし、残念なことに来る材料は全く期待と反する材料しか送られて来ないのです。
40フィートコンテナ約50m3の材料が日本に送られてきても60%以上の材料が私共から見ると不良品なのです。
送られてくるたびに不良の材料の山となります。
その事実を中国側に訴えても値引きも補償もしてくれません。
そんな状態が約7年間続きました。このまま今後も続けていけばリスクだけが膨らむばかりです。

「どうして解ってくれないんだ」
「どうしたら良質な材料を作ってくれるんだ」
と悩み続けていたときに常に、いつも私が訪中した際に通訳をしてくれ日本にも留学した経験のある中国人スタッフが 「社長が中国に製材会社を作り、その中国の会社の董事長になり、董事長として命令すれば社員は言うことを聞きます」という答えが返ってきました。
今までは材料輸入先の工場に出向き、材料加工をしている現場のスタッフに直接技術指導し、その時に日本から持参した刃物を置いてきましたが、工場の董事長や総経理が現場に指示を出さない限り、現場スタッフは行動できません。

自分が董事長になれば良質な材料加工が指示出来るという一心で5年前に中国に製材会社を設立し製材工場を立ち上げました。
この中国に製材工場を立ち上げたことで、自らが原木購入、柾挽きの製材、渋抜き、乾燥、柾板作りと桐の命でもある良質な柾板の材料加工の管理が出来、それにより、今では堂々と自信を持って、良質な製品を皆様にご提供する事が出来るのです。

まだまだ国が違い、文化や習慣も違う訳ですので日中のコミニケーションは100%思うようには行えていませんが、ただ今言えることは企業のごまかしや偽装があまりにも多すぎる現代で、苦労しながらも正直に真面目に真剣に良質なものづくりに取り組んでいるということだけは確かですと言い切れることが嬉しいのです。

今考えるとこの中国投資も当時は大変でしたし、今でもまだまだ大変ですが、正しい選択だったと思います。

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